よるくま@真夜中の虹 膠原病・心筋梗塞 闘病記

膠原病~心筋梗塞/発病・入院・共存の記録 体に耳をすます日々の日記

エッセイ

【日刊】びょういんつうしん その12

余暇と心の自由 病院には余暇が少ない。病院は通過機関だから、当然と言えば当然か。アミューズメントパークまではいかないにしても、何か工夫はできないものか?定期的に映画を上映するとか、図書館を作るとか、レンタルビデオ店を作るとか。 院内で生活す…

【日刊】びょういんつうしん その11

生きていること 急変を目の当たりにしたのに、その後しばらくショックでグッタリと横になったけど、それでもやっぱり朝食を食べていた。 食べ物が喉を通らない感じ、だけど。ヨーグルトとフルーツを外したものの、ロールパンとスープは食べた。 何だか奇妙だ…

【日刊】びょういんつうしん その10

急変 吉田さんの容体が急変した。 朝食後、カーテンごしに聞こえる吉田さんの様子がどうもおかしい。昨日あたりから吐いていたが、今日も吐いているのかゴボゴボという音が聞こえる。その音が、余りにも長かった。 数日前、吉田さんの喘鳴がひどい時は私がナ…

【日刊】びょういんつうしん その9

過敏さ、そして弱さ 病院にいて、病気が長期化しつつある。新しい事が減り、慣れてきた中では、気持ちも落ち着き、余裕が出てきたと感じている。眠る時間も早くなり、緊張やたかぶりもなくなってきた。 けれども一方で、眠りが浅くなり、目が覚めるのが早く…

【日刊】びょういんつうしん その8

退院 退院は、入院患者の誰もが待ち望んでいること。それは、入院期間の長さに関わらず焦がれるものであろう。 短期間入院しポリープを切除し、そのポリープが良性だった者は、九死に一生を得たと感じ、病院を出る時、多分振り帰らない。二度と戻るつもりは…

【日刊】びょういんつうしん その7

空の色 眠りが浅くなってきて、5時には目が覚める。 病院での生活に慣れてきて、毎日余り疲れない。色々な人と話して、病院の中のこともよくわかってきた。社会とは別の時間が流れているこの場所が、生活の場になりつつある。 病気の原因が見つからない。入…

【日刊】びょういんつうしん その6

動き出せない月曜日 何日目なのか、もうよくわからなくなってきた。 病院に入っていたら、曜日なんて関係ないと思っていたけれど。 今日は気持ちの中で、ちゃんと「月曜日」。そして冷たい雨が降っている。 気持ちが少し辛くなっているかもしれない。 週が明…

【日刊】びょういんつうしん その5

つわものたち ② 高田さん、団塊の世代。元プロゴルファー。 難病を発症し、最初の入院生活は4年、その後入退院を繰り返す。スポーツ選手らしい大柄な体格で車椅子に座っている。目の障害でサングラスをかけているが、障害用眼鏡というよりは、チンピラ風で…

【日刊】びょういんつうしん その4

つわものたち その1 入院して二日目に喫煙場所を見つけた。それは入院棟の裏、隣の古い建物に抜ける通路の際の屋外の、吹きさらしの場所にあった。タバコの煙が流れるのを防ぐためのプラスチックの透明な仕切り壁に区切られた空間。そこにはいつも、4~5…

【日刊】びょういんつうしん その3

プライド 病院は羞恥心に余り配慮がない場所だ。そんな中で、プライドって何だろうと思う。 入院した翌日、部長回診があった。部長というのは、院内では相当偉い人らしい。その教授は、日本でも五本の指に入る神経内科の権威だということは、後に患者同士の…

【日刊】びょういんつうしん その2

吉田さんのひとりごと カーテン越しにいるのは、多分おじいちゃんの吉田さん。ベッドから出ないからわからないけど多分。 初めて吉田さんの声を聞いたのは、私が病院に着いた日の夕食の時だった。「夕食ですよ」と持って来られた食事に、途切れるような声で…

【日刊】びょういんつうしん その1

窓際のやまださん 病室で初めて話した患者はやまださん。やまださんはカクシャクとしたシルバーグレーのおじさん。私が夕方に慌しく外来から入院して、一晩寝た次の日の朝、初めて言葉を交わした。開け放った私のベッドカーテンの前を通ってやまださんがトイ…