【日刊】びょういんつうしん その6
動き出せない月曜日
何日目なのか、もうよくわからなくなってきた。
病院に入っていたら、曜日なんて関係ないと思っていたけれど。
今日は気持ちの中で、ちゃんと「月曜日」。そして冷たい雨が降っている。
気持ちが少し辛くなっているかもしれない。
週が明けて世の中が動き出す気配を感じるのに、私は動き出せない。
とり残された感じがする。
先週まではすべてが新鮮で、検査をして、疲れているけど、少しずつ前に進んでいると信じてきた。
そして、外来棟が閉まっていて、病院そのものがのんびりとした空気になる日曜日。どのフロアも見舞い客であふれて、にぎやかな、華やいだ雰囲気だった。他の入院して日が浅い患者は、お見舞いの帰った夜に、淋しくなるのかな?
私は、社会に参加できないことに気づいて、月曜日に気持ちが辛くなっている。
若い看護婦に、トイレの時にそのことを話した。この間、入浴の時に恥ずかしいと言ったら戸惑っていた看護婦。
患者の辛いという気持ちは余りにも重いよね。また少し戸惑って、「なるほど…」と言って困った笑いを浮かべる。逆に申し訳なくなってしまい、「ごめんなさい」と私から笑って話を切り上げた。
携帯電話のカメラで何枚かの写真を撮った。窓の向こうに見える夜明けの街。病院で暮らす人の澱のような灰皿。鈍色の中、仕事に向かう白衣の看護婦。
今まで、自分の内側に目が向いていた。ファインダーを通して、外の世界に目が向く。
今日。今日をどう乗り切っていくか。
明日、明日という日が描けるのかどうか。