2019-03-29 心筋梗塞 入院日記のあとがき その後 ******* あとがき ふたたび ****** これで原稿を終わりにして、日常に戻るはずだった。 けれども、現実はもっと複雑で難しいのだった。 健康に気をつける生活をする中、4月初旬に突然盲腸(急性虫垂炎)になり、救急搬送されて、再び同じ病院に入院することになった。 そして、この入院の状況が、今までの入院の中で最もリスクが高いものとなったのだった。なぜなら、膠原病に対するステロイド薬と、心臓の再梗塞を予防する薬は、いずれも止血を妨げるもので、通常、心筋梗塞後六カ月間は、外科的な手術はできないからだ。 切れば大量出血の可能性が高く、薬を止めれば心筋梗塞のリスクが高く、抗生剤で対処する間には、腸が破れ、死に至る可能性があると医師に言われた。いずれを選択するか、医師の間でも意見が割れてしまい、結論が出ない。医師のいずれもが、リスクが高いため執刀を避けている。結果は誰もわからないが、どれを選ぶか?という問い。 前回命をつなげたのが奇跡だと思ったので、今回、奇跡は二度は起こらない、と思った。感情的になって騒ぎはしなかったが、言葉を失った。書けず、話せなかった。自分の状況を見つめるしかなかった。そして、今までにない体の痛みがあった。試練は残酷だった。 今、生きてここにいる。何度かの激しい時間を経て、何が変わったか。十年前の入院の時におぼろげだった、「終わるかもしれない」という気持ち。退院で感じた、生きている輝き。 その後の二回の体験を経て、いつか来る終わりは、確かなものとしてそこにあった。だから、どう生きて、どう終わるのか。終わりまでをどう生き抜くのか。何を残すのか。何を残さずに持っていくのか。 今も心臓に望まない鼓動がある。 残された時間で何をするか。 何を凝視し続けるか。 (おわり)