よるくま@真夜中の虹 膠原病・心筋梗塞 闘病記

膠原病~心筋梗塞/発病・入院・共存の記録 体に耳をすます日々の日記

2019.1.11心筋梗塞 入院12日目 フロアの習慣

(金曜日)

9:10 自主トレ 6往復600
前 1036673 → 936564
後 1016870
脈はマスクのせいで速いか

10:10 PTリハ
脈の測り方の説明
運動前は、20秒×3で測る
運動後は、10秒×6で測る(心拍の回復が早いため)
脈拍の目安は、測定値から計算すると上限103まで可
私の場合、通常歩行では、脈が変化しない軽い負荷程度なので、リハのためには、速めに歩くようにする
階段昇った後、脈78
自転車10分+200m歩行+階段
その後脈を測った
1フロア上がっただけだが、階段が妙にきつい気がする。

気のせいか?

13:10 心電図、レントゲン
    保険限度額手続き(入退院会計窓口)

13:50 自主トレ
800m
1097059
1117362

15:50 自主トレ
1000m
1158254
1157557



午後に仕事の広報原稿を書いて、職場に携帯メールで送った。

朝5時(4時半)に目が覚め、昼は眠らないようしにしていたら、少し疲れた。
何日か前から、お腹の筋トレ。

今日からスクワット50100回に増やした+かかと上げ100


日勤:Ns.松本、夜:Ns.山本(初めて)(+)   20:50




 病院で暮らし始めると、その病院、病棟、フロアごとに、いろいろな習慣やルールがあるようだ。
 まず、ここ循環器内科では、毎朝、体重測定がある。立てなかった最初の頃だけは、早朝6時頃に、ナースがベッドサイドに家庭用の体重計を持ってきて量ったが、すぐに、ナース・ステーション横まで行って自分で測るというルールを教わり、毎朝行くようになった。

 日常生活の中では、体重は、太ったかな、やせたかなとか、運動が足りないとか、間食が多すぎるから甘いものを控えようとか、まあその程度にしか使わないので、ナースが、なぜ毎朝、「体重を量ったか?何キロだったか?」としつこく訊くのかが、わからなかった。
 しばらくして、どうやら体重は、何か大切な指標になっているらしいとわかってきた。病院では、食事のカロリー量が限定されている。毎日の運動量も、大きくは違わない。その中で、体重が増えるとか減るというのは、何か理由があるのだろう。体重が減りはじめると、ナースが「良かったですね」というのは、入院前に発病の一因となったであろう不摂生な食生活が、病院食により改善されて、順調に体重が落ち始めたというようなことだろう。(後でわかったことだが、退院後にスポーツジムで体組成が測れる体重計で測ったところ、脂肪以上に筋肉が落ちていた。入院前と比べて4キロ近く体重が落ちたが、脂肪1.5キロに対して、筋肉が2.5キロ落ちていた。良かったとは言い切れないな)。
 とにかく、毎朝早朝に体重を量り、それをナースに伝え、もらった表にも自分で記入するのが、数少ないやることの一つだった。体重を表につけるのは、体重の自己管理の練習らしい、ということが勉強会に出てわかった。

 もうひとつやっているのは、血圧測定。ナース・ステーションの横に、よくある腕を差し込むタイプの血圧測定器があり、そこで自由に測る。

 起床時の安静時血圧は、ナースがベッドサイドに来て測るので、血圧測定器での測定は、自分の血圧を把握するためにやる。自分で血圧を測るのは、PTに教わった。平常時血圧と運動前・後の血圧と脈拍を測るようにしている。血圧にはあまり変化がないが、稀に、極端に低いことがある。脈拍測定は、運動による心臓への負荷の目安になるので、退院後も必要かもしれない。

 以前プールで泳いでいる時に、運動の負荷の目安として測っていた。やや息が上がるのが脈拍120、きついと感じるのが脈拍140だった。脈拍120の運動を維持するのが脂肪の燃焼効率が最も高いと、水泳の本に書いてあったので、140になると少し休み、110120で再び泳ぎ始めるようにしていた。それはクロールで50200m泳ぎ、プールサイドで3060秒休むくらいの運動量で、これを合計2000mになるまで続けるというのが、入院前に、最も距離が長くなっていた時の泳ぎ方だった。
 廊下での自主練習前後に測り続けているが、平常時が60前後で、歩行後に7080くらいに上りはするものの、思うほどの変化はない。

 これは、歩行程度では全く問題ないということだと思うが、心肺や筋機能の回復の目的のリハとしては、負荷になっていないと思う。ペースを上げて歩くか、距離を長くするかだと思うが、病院の廊下では、大したリハはできない。院内でインフルエンザや風邪の感染が言われるようになっている中で、隣のフロアまで歩くのも、避けたほうがいいかと思っている中では、効果のあるリハは難しい。病院内には、回復して生活に備えるための環境はない。
 
 この他、尿量測定がある。これは、トイレの奥の隅の方にある尿量測定器という、蓋のついた小さな金属の機械に、尿を入れて測るというもの。洗面台の横に、給茶機の紙コップ供給器のような検尿用カップが重なっている筒があるので、排尿のたびに、そこから容器を取って尿を入れて、ロボット音声の機械の所に行って、自分の名前をタッチして、蓋が開いたら尿を入れる。

 尿量と比重が出るが、興味のある値ではないので、機械が事務的に何かを言っているけれど立ち去る。この値がたぶん自動で記録されて、ナースが使っている患者のカルテ内のデータとなるのだろう。この機械のロボット音声が、イントネーションがおかしくて、ニヤッと笑ってしまう。そして、そいつは真夜中でも早朝でも、文句を言わずに蓋を開けたり閉めたりしているので、健気でもある。


 今回、入院して改めて気づいたのは、カルテや記録類はすべて電子化されていて、医師と看護師間で、サーバー上で共有されていることだった。

 ナースは、台車の一番上にノートパソコンを乗せ、2段目、3段目に処置用の用具や点滴の薬液や使い捨ての手袋等を載せた状態で、ガラガラとやって来る(かなりうるさい)。

 ナース・ステーションの前を通った時に、注意して見てみると、ステーション内には、それらのワゴンをいくつも連結していわゆる「デスクの島」のような形にした一角が作られており、ナースは高めのスツールのような椅子に座って、自分のワゴンのPCに向かって入力をしている。デスクはなく、この台車が、そのままデスクの役割をしているようだった。ナースの記録業務は、完全に電子化されているのだった。

 逆に見ると、ナースの仕事の大部分は、入力のためのデータ収集のようでもあり、電子機器の指示による、薬液の交換や投薬のようでもある。将来、薬液の交換が、壁から直接自動で行われるようになれば、また、体温も測定もパッド等で自動で行われるようになったら、ナースの仕事は何が残るのだろう。今それを文化として残す取り組みをしておかなければ、ナースは、ただの機械の確認をする人に成り下がってしまうかもしれない。志を持ってナースになったにもかかわらず、つまらなそうに仕事をしているのは、業務内容の現実があるのかもしれない。機械管理と、患者の理不尽な文句への対応と、汚物の処理だけをしていたら、つまらなくなるだろうな。


 もう一つあるフロアのルールは、シャワー予約だ。フロア内には、シャワーのついた浴室が一つだけある。シャワーが使えるようになるまでは、頼むとベッドにお湯の入ったバケツが運ばれてきて、自分で拭ける人は、タオルで体を拭く。拭けない人は、ナースが拭いてくれる。歩けるようになった後、病状を考慮してドクターから許可が出ると、シャワーが使えるようになる。ただ、病院側から、ある段階になったら自動的に積極的にシャワーの許可が出るわけではない様子。頭を洗ってはダメか?と聞いたら許可が出て、シャワーを浴びたいと何度も言い続けたら、しばらくして許可が出た。言わなければ、とくに検討されないことのようだった。どういう状態になったらシャワーを使えるようになって、その後どうなったら退院できて、と見通しを示してくれたら、励みになるのにと思う。そんな風だから、どうやってシャワーが使えるのかの手続きの説明も、一切なかった。改めて、医師から許可が出たけれどどうすればいい?と聞いたところで、やっと説明があった。が、初日のその日は、すでに予約でほとんど埋まってしまっていて、食事中の時間にかかった枠しか開いていなかった。


 正しいシャワーの使い方は、朝6時になると、ナース・ステーション前の棚の所に予約用のファイルが置かれるので、検査を受ける人用の枠以外の枠で、自分の名前と病室を書き込む。

 予約した時間になったら、ナース・ステーションに言って、浴室のドアにかける「入浴中」の札と、足ふきの使い捨てマットと、ドライヤーを借りて、シャワー室に行く。持ち時間は30分なので、その間にシャワーを浴びて、ドライヤーをして、次の人の時間の前に、ナース・ステーションに借りた物を返す。前の人が時間を守らないと、自分の時間が短くなってしまい、自分が遅れると、次の人に迷惑がかかる。シャワーは皆楽しみにしていると思われ、だからこそ、早めに切り上げるようにして、次の人に気を遣っているようだった。
 予約は、だいたい夕方~夕食前、夕食後の時間から先に埋まっていく。そのあと、午後枠が、遅い時間から早い時間の順で埋まっていき、最後に、午前が埋まるようだった。

 そして、シャワー室は、同フロアの2つの区画の病室の患者が使っているようなので、自分でシャワーができる患者がどれくらいいるかはわからないが、午前中の早い時間に、予約表はほぼ埋まってしまうようだった。私は、一日の終わりにゆっくりと入浴したいのと、食事を一時間弱かけて食べるようにしているので、入浴できる枠は、一番最後か、その前かに限られてくる。一番最後だと、次の人がいないので多少伸びても大丈夫、という特典があるかな。同じようなことを考えて、同じ時間帯に予約を入れるのは、フロアでただ一人の若い女性の入院患者の渡邊さんという人だけのようで、だいたい同じ時間の前後に、私かその人の名前が入っている。

 私は早朝5時過ぎに目が覚めることも多く、それから、その頃にナースが血圧測定に来たり採血に来たりするものだから、ついでにトイレに行って、6時ちょうどを待って予約をして、体重を測るようにしていた。

 一日中することがない訳だから、何時にシャワーになっても大差はないのだが、何となく、そういう習慣になっている。また、予約が6時からだと、6時にファイルが出てくるのを待つ人が何人もいるのではないかと思って、毎日見ていたが、まったくそのようなことはなく、朝食後に8時頃に行っても、数人の名前しか書かれていないことが多かった。

 ただ、そんな中で、渡邊さんだけは夜にシャワーを浴びたいようで、そして渡邊さんはスウェットを着て、ピンクのクロックスでペタペタと音を立てながら歩いているような人なのだが、この人たぶん、早起きが苦手なのではないか。私が名前を一番下の最後の枠に書くと、その上に名前を書くが、私が下を一つ空けて書くと、最後の枠に名前を書く。彼女の第一希望は、一番下のよう。そして早起きができない渡邊さんは考えたようす。同室の早起きのおばちゃんに「名前を書いておいて」と頼んだのだろう、私が油断して7時頃ファイルの所に行くと、一番下には、既に名前が書いてあった。「渡部」?翌日も同じように「渡部」。3日目に「渡部」を消して「渡邊」と直してあった。頼まれたおばちゃんが、字を間違えていたのだろう。その後何回か、私は一番下を空けて名前を書くようにしていたが、渡邊さんの名前が書かれなくなったので、退院したのかもしれない。