よるくま@真夜中の虹 膠原病・心筋梗塞 闘病記

膠原病~心筋梗塞/発病・入院・共存の記録 体に耳をすます日々の日記

2018.12.31 心筋梗塞で救急搬送①

◍ 違和感

  大みそかの日の午後、自宅の大掃除をしていた。浴室で膝をついて、洗剤を付けたブラシで床をこすっていた。といっても、激しく体を動かしていた訳ではなく、ごくごく普通に掃除をしていた。

 その時、胸にはっきりとした違和感があった。肋骨のとがったところの少し上あたり、「ここ」と指し示せるような特定の場所に、激しくはないが、押されているような鈍い痛みがあった。以前にも、同じようなことがあった気もするが、肋間神経痛だったろうか。その時は、しばらくするとすぐに痛みが引いたので、同じようなものかもしれない。姿勢を変えたら、なくなるかもしれない、横になったら、なくなるかもしれない、と思い、やってみたが、痛みは変わらない


 それで、「何だか痛い」、と家族に伝えた。これは、私がめったにしないことだった。いつもは、自分で何とかしてしまうから。体を動かせば、痛みがひくかもしれないと思った。痛みがひいて、何ごともなかったことにできればいいと思った。

 冷静に振り返ってみれば、本当は、もう違和感が普通でないことに気づいていたのかもしれない。曇り空の少し寒い外に出て、歩き始めてみた。痛みはまったく変わらなかった。このまま外で痛みがこれ以上激しくなったらまずいかも。最悪の状況、しゃがみ込む自分の姿のような映像が、一瞬頭に浮かんだ。それで、すぐに家に戻った。

  痛みが変わらない。そんな様子を見て、家族が、救急車を迷った時の番号#7119に電話をしていたようだった。

 家族が先に状況を説明した後に、本人と代わるように言われたようで、電話に出た。「どのあたりが痛いのですか?」と女性のオペレーターに聞かれたので、「肋骨の真ん中あたり」と答えた。「その状態が一時間近く続いているのですね」と言われたので、一時間も経っていない気がしたが「はい」と答えた。それだけのやりとりだったが、「それは異常な状態ですので、すぐに救急車を呼ぶ必要があります」と言われた。「異常な状態」という言葉の響きが耳に残った。

 このまま救急につなぐが良いか、と聞かれ、続いて男性の声が聞こえた。何となく救急車と話しているような気がしていたが、今思えば、119番の東京消防庁だったのかもしれない。救急車がすぐにそちらに行く。循環器系の救急設備がある病院に向かうが良いか、というようなことを言われた。その意味はよくわからなかったが、最善の提案をしているのだろうと思って、承諾した。

 とにかく救急車で運ばれるのだ、ということだけがわかった。入院するのなら、お金が必要だろうと思い、本棚の奥にしまってあったお祝いに使うための新札を入れていた財布を取り出して、持った。そして、なぜか、救急だと何があるかわからないからと思い、トイレに行って排便を済ませた。意識を失う時に便失禁をしたり、救急処置で浣腸をされたりするのは嫌だな、というような漠然とした想像をしたのだと思う。

 

 携帯や鍵等が入っている、いつも使っている小さい布の肩掛けのポーチだけをつかんで、エレベーターでマンションのロビーに下りた。