よるくま@真夜中の虹 膠原病・心筋梗塞 闘病記

膠原病~心筋梗塞/発病・入院・共存の記録 体に耳をすます日々の日記

●●心筋梗塞を振り返る(病状まとめ)①●●

◍最初の痛みのこと

 心筋梗塞の痛みが、心臓付近ではない場合も多いことは、後で知った。退院後に、私の膠原病の主治医が、「糖尿病の場合にも、心筋梗塞の痛みがほとんどない場合があって、心筋梗塞の判断をする際の盲点になっている」と言っていた。


 退院後に、図書館の本(狭心症心筋梗塞 正しい治療がわかる本 聖路加病院院長 福井次矢 法研出版』)で調べると、さらに詳しいことがわかった。

 心臓とは明らかでない痛みは「放散痛(ほうさんつう)」と呼ばれていて、背中、あご、左肩などの場合もある。心臓以外の痛みには、痛みがやわらぐ「波」があるが、心臓の場合は、痛みが続くことが特徴。したがって、不快感程度の痛みであっても、20分以上続く場合には、心臓を疑って救急車を呼ぶ判断をした方が良いとのこと。

 様子を見ようとして放置した場合に、心筋の壊死や不整脈心室細動)によって、心停止に至る場合が多いのだそうだ。


 そして、心筋梗塞の痛みのイメージを誤って広めているのには、アメリカ映画での胸に掻きむしるような表現に大きな原因がある、と考えられており、アメリカ心臓学会では、これを「ハリウッド症候群」と呼んでいるとのことだった。まさに私は、心筋梗塞の痛みは激痛であると誤解して、様子を見ようとしていたのだった。


 
 

◍救急車のこと

 発作が起きてから1~2時間が、救命率、予後が比較的優れている「ゴールデン・タイム」と称される時間であり、その間に血流を再開する再灌流療法が、現在の処置の中心となっている。したがって、例えば、聖路加国際病院では、病院到着までの時間を含めて念頭に置き、「病院到着から90分以内」と、明確に血流再開の目標時間を定めているとのこと。

私の場合も、「#7119~救急~病院」の流れが速く、救急車が来てからすぐに発車したのは、心筋梗塞を前提にした流れだったことがわかる。
7119が「相当高い確率で心筋梗塞」と、判断していたのだろう。思い返せば、#7119の女性の声は、「一番近い循環器専門の救急を持つ病院をこちらで決めさせていただくが良いか」というような意味のことを言っていた。私は、きっとそれがベストなんだろうと思い、「それでいいです」と答えていたが、まったく状況がわかっていなかったので、他の選択肢を思いつくはずもなかった。
 
 

◍処置室での検査と診断のこと
 
 新人の医師を対象としたこの本には、救急搬送からの流れが、順を追って書かれていて、私が体験したことの意味が、一つ一つわかった。

 病院のベッドに移されて、取り囲まれて同時にされていた処置は、心電図、血液検査、心エコー、エックス線検査(レントゲン)だった。
 確かに、背中の後ろに板を差し込まれて、可動式のレントゲンを受けた記憶がある。エックス線検査は急性大動脈解離や骨折を除外するためのものであり、他の検査にも、心筋梗塞以外の病因を除外する役割があるとのこと。
 心電図は、救急車からデータがそのまま病院に送信されている場合が多く(そういえば、救急車のベッド上で、胸に心モニターのパッチを貼られていた)、「ST波の上昇」によって、診断は概ね心筋梗塞に絞り込まれている。
 その上で、血液検査によってck-MB(クレアチンキナーゼ)値、TuT(トロポニンT)値の上昇により、心筋梗塞の診断をほぼ確定する。この二つの値は、心筋の壊死により血液中に流れ出す特有の酵素で、心臓の血流の停止を意味している。これらの判断によって心筋梗塞と診断され、カテーテル検査で、冠動脈患部を直接確認する処置に移行する。