よるくま@真夜中の虹 膠原病・心筋梗塞 闘病記

膠原病~心筋梗塞/発病・入院・共存の記録 体に耳をすます日々の日記

2019.1.14心筋梗塞 入院15日目 夜の物音や朝焼け

(祝日)

7:29 自主トレ
1000m 16min.
1026752
996262


15:16 自主トレ
1000m 15min.
986052
1136257


14:00 当直Dr.により、右手首先の甲に、明日のカテーテル検査のための点滴用のラインが入った。


向田邦子のことを書いた本『名文探偵 向田邦子の謎を解く』(鴨下信一)を読み終わった。
『私以外みんな不潔』(能町みね子)を読み終わった。


 この三連休は、検査もリハも一切ないとのことで、特にすることもなく、ゆっくりのんびりとすごした。

 明け方、4:45頃目が覚め、少し眠って6時に起きているが、少し眠り足りない分を、朝食後、少したってから、9:30ごろから11:00の間くらいに、うとうとして補っている。

 連休前までは、体を起こしていた方が良いかと椅子に座ったり、窓際に立ってすごしていたが、努力し続けるのにも少し疲れた。残り少ない入院期間は、めったにない休養期間なのだから、ベッドに陽がさすおだやかな時間には、休みたいだけ休んでよい、と思うようにした。


 朝は、6時から朝焼けが始まるのだが、この時の空の色が変わっていくのを見ているのが、今の楽しみ。毎日、少しずつ色が違っている。今朝は、空全体が大きな一つの虹のような色だった。中学の時に、友達と屋上に泊まり、凍えながら、夜どおし星を見たり、話したりしてすごした時の、鮮やかな朝焼けの色を思い出す。

 明け方、440分~50分に一度目が覚めるのは、病院は夜通し音がしているから。いくつものモニターの音や警告音、廊下を通るナースの足音、ナース用のPCや用具を載せたワゴンを転がす音、当直のドクターどうしの話し声。

 今朝がたは、ナース・ステーション前の個室のおばあちゃんの患者さんが看取られたのではないか。ドクターや人の話し声が、明け方に続いていた。

 


 夜、眠る時に、ヘッドフォンでラジオを聴いている。たまたま持って来たヘッドフォンが密閉性が高いもののため、ヘッドフォンをすると、物音が聞こえなくなる。ラジオはモノラルなので、横になったときに上になる左耳だけヘッドフォンをして、右耳を下にして眠れば、物音は聞こえない。


 見たいドラマや駅伝を、テレビのステレオ音声で両耳ヘッドフォンをして見た時は、その世界に没頭して、病院にいることを、その間は忘れていた。



 何だかここ数日、家も職場も遠い世界のできごとのような気がする。帰るスケジュールは意識しているものの、本当に帰れるのだろうか。

 自分がいなくても、世の中は回っているんだなと思う。仕事は、すごく遅れを取ってしまった気がする。実は年末年始を挟んでいるので、平日の日数は少ないのだが、そう思う。



 明日は、朝からバルーンカテーテル検査。朝食は抜きで、900にはカテーテルの部屋に行く。

 今日シャワーの前に、鼠径部の毛を少し剃った。

 カテーテルは大丈夫だ、とは思いつつも、気持ちのどこかでは気になっていて、少し緊張しているかもしれない。
                                1606

2019.1.13心筋梗塞 入院14日目 欲しかった言葉「大丈夫」

(日曜日)

6:00 起床(4:45に目覚めて二度寝

7:25 自主トレ
1100m 20min.
116-70/63
112-67/54

11:45 自主トレ
400m 9min.
97-63/54
100-63/59

12:30 女子駅伝


小山Dr.から1月24日16:00~のMRIと造影剤の説明

15:40 自主トレ
800m 15min.
116-80/55
110-68/57


21:00 ドラマ グッドワイフ


あまり動く気もせず、ゆっくりとすごす。
ベッド上でテレビを見てすごしたら、体重が100g増えた。
夜、隣のベッドは空き。


昼:田島Ns. 夜:多田Ns.



 日中、洗面所に行くと、鏡の前に、呆然とした様子で座っている初老の女性がいた。歯磨きに行った私が、「こんにちは」と声をかけたら、「ああ」と気づいた様子。「入院して以来、初めて鏡を見たらショックで…」と。


 私も、立って歩く許可が出て、初めて洗面所まで来て座って鏡を見た時に、驚いた。顔色が悪く、やつれていて、肌がボロボロな上に、髪の毛が固まってしまっていた。

 そう、健康な状態で入院した訳ではないからね。そして、命の危険があるくらいのところから、手術等を経て、やっとここまで来た。その戦いの跡なのよね。


 そんなことが、一瞬で頭に思い浮かんだのだけれども、結局、とっさに言えたのは「大丈夫ですよ。」「これから、元に戻っていけるのだから。」とだけ。

 そのあと、「そうかしら…」「うん、大丈夫。」「あのね、頼めばこの洗面台で、髪、洗えますよ。自分で難しければ、看護師さん洗ってくれるし、シャンプーも、濡れないようにケープも貸してくれるから。髪洗ってみたら?」「どうやら、この病院、自分から言わないとダメみたい。だから、言った方がいいですよ。しばらくしたら、シャワーも浴びたいって、言ってみて。あそこ、使えるんだから、ね。」「仏様に出会ったみたい…、あなた仏様……?」「いえいえ、同じですよぅ。みんなちゃんと良くなっていくんだからねー、大丈夫」。

 そう、みんな、自分にとっては初めての出来事だから、どうなっていくのか、どうしたらいいのか、わからないんだよね。

 きっと、私自身が欲しかった言葉なんだよね、「大丈夫」って。

2019.1.12心筋梗塞 入院13日目 飢餓感への対応

(土曜日)

朝、Ns.山本より、「睡眠中に、脈が30くらいになることがある」


9:30 自主トレ 1000m
976357
1127061


11:45 小山Dr.


1月15日のカテーテル検査の説明。
冠動脈が塞がっていないかを調べる。
再狭窄は2週間目までが多いため、この段階で検査する。
検査のリスクは、脳に血栓が回る確率が1/1000
コレステロールは、今後アキレス腱のレントゲンでチェックする。
70以下にする必要がある


14:0015:00 昼寝

15:40 自主トレ
1000m24min.中速歩
956353
1006959

17:10 自主トレ 1000m15min.速歩(大また)
1036653
1097059



 食事を全量食べられるようになってからは、次の食事の前に、お腹が空くようになった。することがほとんどないのもある。食べることくらいしか、することがない。病院内で飢餓感が出ると、ちょっと困る。食べ物は何もないから。それで、少しの飲み物と食べ物を冷蔵庫の中に隠して、気持ちを逃がしている。


 そんなこともあり、毎回の食事、を45分くらいかけて食べている。これは、前に入院した時に考え出したやり方。前回は、歩行のために体重を減らす必要もあったので、時間をかけて食べていた。

 その方法は、まず冷たいもの(パックのジュースや牛乳、果物、ヨーグルト等のデザート類)は、冷蔵庫の中に一度しまう。それは、ゆっくり食べていると、あたたまってしまうから。冷たいものを冷たくして食べると、おいしくて満足度が高い。

 それから、おかずの中の副菜、主菜を材料別に、野菜と肉、野菜と魚のように、ばらばらに分ける。そして、温かい皿のものには、再び蓋をする。

 この際に、ご飯と一緒に食べられそうな素材の物は、ご飯に載せて混ぜて味付きのご飯を作り、再び蓋をしておく。親子丼の具で言えば、玉ねぎを取り除いた卵と鶏肉を、ご飯に載せて混ぜて、炊きこみご飯のように色のついたご飯を作る感じ。

 そして、好きではないおかずから、一口ずつ食べる。コツは、いちいち箸を置くこと。それから、主菜類の選り分けた野菜等を食べる。親子丼の具であれば、玉ねぎを食べる感じ。

 そして、おかずを食べ終わった後で、メインイベントの味付きのご飯を蓋を開け、温かい味付きご飯を食べる。途中で休み、お茶や汁物をゆっくり飲む。この時にはご飯の蓋をちゃんと閉めて、ご飯を温かく保つ。そうして、また味付きご飯を堪能する。

 そして、ご飯を食べ終わったどんぶりに、たいていついているすまし汁を入れて、どんぶりの壁についた味付きご飯のだしを、すまし汁に溶か出して飲む。ここまでで、30分以上かかる。

 すると、満腹に近いような気分になっている。なのに、冷蔵庫には、甘いデザートと牛乳がまだある!で、じっくりゆっくりと味わってデザートを食べると、だいたい4550分かかる。となりのベッドのせっかちなじいさんが、10分で食べ終わってしまっただろう後にも、私はまだずっと食べているのだ。

2019.1.11心筋梗塞 入院12日目 フロアの習慣

(金曜日)

9:10 自主トレ 6往復600
前 1036673 → 936564
後 1016870
脈はマスクのせいで速いか

10:10 PTリハ
脈の測り方の説明
運動前は、20秒×3で測る
運動後は、10秒×6で測る(心拍の回復が早いため)
脈拍の目安は、測定値から計算すると上限103まで可
私の場合、通常歩行では、脈が変化しない軽い負荷程度なので、リハのためには、速めに歩くようにする
階段昇った後、脈78
自転車10分+200m歩行+階段
その後脈を測った
1フロア上がっただけだが、階段が妙にきつい気がする。

気のせいか?

13:10 心電図、レントゲン
    保険限度額手続き(入退院会計窓口)

13:50 自主トレ
800m
1097059
1117362

15:50 自主トレ
1000m
1158254
1157557



午後に仕事の広報原稿を書いて、職場に携帯メールで送った。

朝5時(4時半)に目が覚め、昼は眠らないようしにしていたら、少し疲れた。
何日か前から、お腹の筋トレ。

今日からスクワット50100回に増やした+かかと上げ100


日勤:Ns.松本、夜:Ns.山本(初めて)(+)   20:50




 病院で暮らし始めると、その病院、病棟、フロアごとに、いろいろな習慣やルールがあるようだ。
 まず、ここ循環器内科では、毎朝、体重測定がある。立てなかった最初の頃だけは、早朝6時頃に、ナースがベッドサイドに家庭用の体重計を持ってきて量ったが、すぐに、ナース・ステーション横まで行って自分で測るというルールを教わり、毎朝行くようになった。

 日常生活の中では、体重は、太ったかな、やせたかなとか、運動が足りないとか、間食が多すぎるから甘いものを控えようとか、まあその程度にしか使わないので、ナースが、なぜ毎朝、「体重を量ったか?何キロだったか?」としつこく訊くのかが、わからなかった。
 しばらくして、どうやら体重は、何か大切な指標になっているらしいとわかってきた。病院では、食事のカロリー量が限定されている。毎日の運動量も、大きくは違わない。その中で、体重が増えるとか減るというのは、何か理由があるのだろう。体重が減りはじめると、ナースが「良かったですね」というのは、入院前に発病の一因となったであろう不摂生な食生活が、病院食により改善されて、順調に体重が落ち始めたというようなことだろう。(後でわかったことだが、退院後にスポーツジムで体組成が測れる体重計で測ったところ、脂肪以上に筋肉が落ちていた。入院前と比べて4キロ近く体重が落ちたが、脂肪1.5キロに対して、筋肉が2.5キロ落ちていた。良かったとは言い切れないな)。
 とにかく、毎朝早朝に体重を量り、それをナースに伝え、もらった表にも自分で記入するのが、数少ないやることの一つだった。体重を表につけるのは、体重の自己管理の練習らしい、ということが勉強会に出てわかった。

 もうひとつやっているのは、血圧測定。ナース・ステーションの横に、よくある腕を差し込むタイプの血圧測定器があり、そこで自由に測る。

 起床時の安静時血圧は、ナースがベッドサイドに来て測るので、血圧測定器での測定は、自分の血圧を把握するためにやる。自分で血圧を測るのは、PTに教わった。平常時血圧と運動前・後の血圧と脈拍を測るようにしている。血圧にはあまり変化がないが、稀に、極端に低いことがある。脈拍測定は、運動による心臓への負荷の目安になるので、退院後も必要かもしれない。

 以前プールで泳いでいる時に、運動の負荷の目安として測っていた。やや息が上がるのが脈拍120、きついと感じるのが脈拍140だった。脈拍120の運動を維持するのが脂肪の燃焼効率が最も高いと、水泳の本に書いてあったので、140になると少し休み、110120で再び泳ぎ始めるようにしていた。それはクロールで50200m泳ぎ、プールサイドで3060秒休むくらいの運動量で、これを合計2000mになるまで続けるというのが、入院前に、最も距離が長くなっていた時の泳ぎ方だった。
 廊下での自主練習前後に測り続けているが、平常時が60前後で、歩行後に7080くらいに上りはするものの、思うほどの変化はない。

 これは、歩行程度では全く問題ないということだと思うが、心肺や筋機能の回復の目的のリハとしては、負荷になっていないと思う。ペースを上げて歩くか、距離を長くするかだと思うが、病院の廊下では、大したリハはできない。院内でインフルエンザや風邪の感染が言われるようになっている中で、隣のフロアまで歩くのも、避けたほうがいいかと思っている中では、効果のあるリハは難しい。病院内には、回復して生活に備えるための環境はない。
 
 この他、尿量測定がある。これは、トイレの奥の隅の方にある尿量測定器という、蓋のついた小さな金属の機械に、尿を入れて測るというもの。洗面台の横に、給茶機の紙コップ供給器のような検尿用カップが重なっている筒があるので、排尿のたびに、そこから容器を取って尿を入れて、ロボット音声の機械の所に行って、自分の名前をタッチして、蓋が開いたら尿を入れる。

 尿量と比重が出るが、興味のある値ではないので、機械が事務的に何かを言っているけれど立ち去る。この値がたぶん自動で記録されて、ナースが使っている患者のカルテ内のデータとなるのだろう。この機械のロボット音声が、イントネーションがおかしくて、ニヤッと笑ってしまう。そして、そいつは真夜中でも早朝でも、文句を言わずに蓋を開けたり閉めたりしているので、健気でもある。


 今回、入院して改めて気づいたのは、カルテや記録類はすべて電子化されていて、医師と看護師間で、サーバー上で共有されていることだった。

 ナースは、台車の一番上にノートパソコンを乗せ、2段目、3段目に処置用の用具や点滴の薬液や使い捨ての手袋等を載せた状態で、ガラガラとやって来る(かなりうるさい)。

 ナース・ステーションの前を通った時に、注意して見てみると、ステーション内には、それらのワゴンをいくつも連結していわゆる「デスクの島」のような形にした一角が作られており、ナースは高めのスツールのような椅子に座って、自分のワゴンのPCに向かって入力をしている。デスクはなく、この台車が、そのままデスクの役割をしているようだった。ナースの記録業務は、完全に電子化されているのだった。

 逆に見ると、ナースの仕事の大部分は、入力のためのデータ収集のようでもあり、電子機器の指示による、薬液の交換や投薬のようでもある。将来、薬液の交換が、壁から直接自動で行われるようになれば、また、体温も測定もパッド等で自動で行われるようになったら、ナースの仕事は何が残るのだろう。今それを文化として残す取り組みをしておかなければ、ナースは、ただの機械の確認をする人に成り下がってしまうかもしれない。志を持ってナースになったにもかかわらず、つまらなそうに仕事をしているのは、業務内容の現実があるのかもしれない。機械管理と、患者の理不尽な文句への対応と、汚物の処理だけをしていたら、つまらなくなるだろうな。


 もう一つあるフロアのルールは、シャワー予約だ。フロア内には、シャワーのついた浴室が一つだけある。シャワーが使えるようになるまでは、頼むとベッドにお湯の入ったバケツが運ばれてきて、自分で拭ける人は、タオルで体を拭く。拭けない人は、ナースが拭いてくれる。歩けるようになった後、病状を考慮してドクターから許可が出ると、シャワーが使えるようになる。ただ、病院側から、ある段階になったら自動的に積極的にシャワーの許可が出るわけではない様子。頭を洗ってはダメか?と聞いたら許可が出て、シャワーを浴びたいと何度も言い続けたら、しばらくして許可が出た。言わなければ、とくに検討されないことのようだった。どういう状態になったらシャワーを使えるようになって、その後どうなったら退院できて、と見通しを示してくれたら、励みになるのにと思う。そんな風だから、どうやってシャワーが使えるのかの手続きの説明も、一切なかった。改めて、医師から許可が出たけれどどうすればいい?と聞いたところで、やっと説明があった。が、初日のその日は、すでに予約でほとんど埋まってしまっていて、食事中の時間にかかった枠しか開いていなかった。


 正しいシャワーの使い方は、朝6時になると、ナース・ステーション前の棚の所に予約用のファイルが置かれるので、検査を受ける人用の枠以外の枠で、自分の名前と病室を書き込む。

 予約した時間になったら、ナース・ステーションに言って、浴室のドアにかける「入浴中」の札と、足ふきの使い捨てマットと、ドライヤーを借りて、シャワー室に行く。持ち時間は30分なので、その間にシャワーを浴びて、ドライヤーをして、次の人の時間の前に、ナース・ステーションに借りた物を返す。前の人が時間を守らないと、自分の時間が短くなってしまい、自分が遅れると、次の人に迷惑がかかる。シャワーは皆楽しみにしていると思われ、だからこそ、早めに切り上げるようにして、次の人に気を遣っているようだった。
 予約は、だいたい夕方~夕食前、夕食後の時間から先に埋まっていく。そのあと、午後枠が、遅い時間から早い時間の順で埋まっていき、最後に、午前が埋まるようだった。

 そして、シャワー室は、同フロアの2つの区画の病室の患者が使っているようなので、自分でシャワーができる患者がどれくらいいるかはわからないが、午前中の早い時間に、予約表はほぼ埋まってしまうようだった。私は、一日の終わりにゆっくりと入浴したいのと、食事を一時間弱かけて食べるようにしているので、入浴できる枠は、一番最後か、その前かに限られてくる。一番最後だと、次の人がいないので多少伸びても大丈夫、という特典があるかな。同じようなことを考えて、同じ時間帯に予約を入れるのは、フロアでただ一人の若い女性の入院患者の渡邊さんという人だけのようで、だいたい同じ時間の前後に、私かその人の名前が入っている。

 私は早朝5時過ぎに目が覚めることも多く、それから、その頃にナースが血圧測定に来たり採血に来たりするものだから、ついでにトイレに行って、6時ちょうどを待って予約をして、体重を測るようにしていた。

 一日中することがない訳だから、何時にシャワーになっても大差はないのだが、何となく、そういう習慣になっている。また、予約が6時からだと、6時にファイルが出てくるのを待つ人が何人もいるのではないかと思って、毎日見ていたが、まったくそのようなことはなく、朝食後に8時頃に行っても、数人の名前しか書かれていないことが多かった。

 ただ、そんな中で、渡邊さんだけは夜にシャワーを浴びたいようで、そして渡邊さんはスウェットを着て、ピンクのクロックスでペタペタと音を立てながら歩いているような人なのだが、この人たぶん、早起きが苦手なのではないか。私が名前を一番下の最後の枠に書くと、その上に名前を書くが、私が下を一つ空けて書くと、最後の枠に名前を書く。彼女の第一希望は、一番下のよう。そして早起きができない渡邊さんは考えたようす。同室の早起きのおばちゃんに「名前を書いておいて」と頼んだのだろう、私が油断して7時頃ファイルの所に行くと、一番下には、既に名前が書いてあった。「渡部」?翌日も同じように「渡部」。3日目に「渡部」を消して「渡邊」と直してあった。頼まれたおばちゃんが、字を間違えていたのだろう。その後何回か、私は一番下を空けて名前を書くようにしていたが、渡邊さんの名前が書かれなくなったので、退院したのかもしれない。

2019.1.10 心筋梗塞 入院11日目

一昨日くらいから、夜眠る時間が長くなってきている。
10時頃入眠し、2~3時頃まで眠る。
一度目が覚め、眠り直して、5時半くらいまで眠っている。
途中で目が覚めるものの、時間的には眠っている。


朝は、朝焼けの色が変わっていくのを見て過ごしている。

昨日は桃色、今日はオレンジ色だった。




今朝は、起きて、気分がすぐれなかった。
落ちている感じ。
何だかすべてがダメな気がした。

理由はわからないが、一つは多分、来週の火曜日の検査が終わった後も、「様子を見て退院」ということだから、しばらく入院が続くのではないか、ということ。カテーテルの後、その後の経過を見る検査と、数値が安定してから退院になるのではないか。それと、ここまで順調に上がってきているが、目標を見失ったことか。

 
 
6:20 108-70-59
 
 
9:20 自主リハ
800m リハ後 101-67-67
 

10:20 T=36.8 血圧 上80(←?)



 のんびり過ごすにも、限度がある。持って来てもらった文庫は、昨日、脳の本を読み終わって、3冊全部読み終わった。
 電子版書籍は、昨日椎名誠の『哀愁の街に霧がふるのだ(上)』を読み終わった。絵本の本は、昨日もう一度ざっと眺めながら、読みたい絵本のページに、ペンケースに入っていた付箋を貼った。

 

15:00~16:20 心不全学習会があった。

 廊下を歩いていたら、通りがかった病室の中で、ナースが患者に「今日心不全の勉強会があるから参加しては?」というようなことを言って促していた。
 月1回、勉強会があることは、毎日眺めているナース・ステーション前の掲示板に貼ってある紙を見て知っていたが、勉強会は家族向けのように読めたので、退院後に、家族が病人の生活を考えるために、継続して勉強するものだろうと思っていた。退院後の生活管理がずっと必要な病気なのだろうなと、漠然と想像していた。

 そうか、患者自身が参加できるものなんだ、と思い、心不全ではないが、似た症状だから、気を付けることも同じだろうと思った。それにしても、参加の促しは全く見られず、話題にもなっていない。昼まで待ってみたが、特に何の話もないので、「勉強会があると聞いたのだが参加して良いか?」と、自分から聞いた。Nsは、最初何のことかわからず、理解した後も、勉強会が今日あるのを知らず、参加できるかは確認してみると言ったまま、その後も何の返事もなかった。

 始まる時間の三十分くらい前になってしまったので、ナース・ステーションに聞きに行くと、参加すると確認できているとのことで、ノートとペンを持って、医師や看護師がカンファレンスを等をするらしい「講義室」とかいう名前の部屋に行った。
 部屋の前には特に看板もなく、ドアを開けると、何となく準備をしている様子だった。始まる時間になっても、やる気のない感じの患者が3人くらいしか集まっておらず、十分くらい過ぎてから、何となく勉強会が始まった。途中で患者が二人くらい入ってきたが、結局受講者はそれだけだった。
 
 いきなり医師が、インターンの学生に説明するような英字のデータ入りのパワーポイントの資料を使って、医学的な説明を始めたので、高齢、かつ、やる気がない、筆記用具さえ持ってきていない参加者とのギャップは大きく、主催者側からの、全面的な一方通行の、不思議な会だった。
 一方、私はペンケースとノートを携え、これまでわからなかったことや知りたかったことを、次々と専門職が説明してくれるので、興味津々でメモを取りまくっており、それはそれで、患者の中でもかなり浮いた存在だったが、私にとっては大満足な会だった。

 
 14時から、吉田沙保里の引退記者会見があったので、その中継を、最初から最後まで全部見た。一つ一つの質問に、丁寧に答える姿勢が素晴らしく、また、言葉の選び方が的確で、理知的な頭の良い人だと思った。あれだけの強さが求められる立場の中で、おごりも性格的な癖もなく、安定したパーソナリティと、人柄の良さがにじみ出ていて、素晴らしい人だと思った。

17:20 自主リハ
廊下L字で5往復 500mくらい?

115-76-51
114-70-52


夜 FMラジオ:
中央アルプス千畳敷では冬に星見られる。いつか子どもと見に行きたい。

歌 おかざきたいくのりゅう[後で調べたら岡崎体育の「龍」という曲だった]
山をつかんで海を食べて ここは私だけの場所 私だけの私」

(夜 Ns.田島、上庄)
      21:01

 

2019.1.9水 心筋梗塞 入院10日目 心臓リハ

◍心臓リハ

 石神PTから最初に言われたのは、心臓リハでの注意事項だった。

 

 心筋梗塞後は、心臓の表面が壊死しているので、筋肉が薄い状態になっている。そのため、心拍数を下げる薬を使っている。今後、退院後に心臓にかけられる負荷は個々に違うため、医師と確認していく。


 心筋梗塞の危険因子は喫煙、飲酒、運動不足、高脂肪、体重増等なので、退院後も気をつけ続ける必要がある。
 心臓のリハの場合、他の身体リハと違って、体は普通に動くので、逆に怖いのだとのこと。これは、前回の入院時のリハのことを話した時に、「やり過ぎがダメな上に、今回はやり方に気をつけなければ危険」と、釘を刺すような感じで言われたことだった。


 今回の院内リハは、リハ室ではなく、入院している病棟の廊下で行われている。

 内容は、始める前の、一瞬のアキレス腱のストレッチと、スクワット10回と、歩行のみ。歩行は、廊下を2往復400mくらい。この距離は、最初だからではなくて、今後も変わらないと思う。全部合わせて15分くらいか。

 量もそうだが、質的にも物足りない。最初、廊下をスタッフと歩いている患者がいるなと思っていたが、あれらは、皆同じリハビリをしているのだった。高齢者も同じリハをしているが、入院前の生活と身体状況、退院後に必要な体力や覚えておくべきリハは、高齢者と自分では違うと思う。もう少し、今後体を維持できるすべを、教えて欲しいと思う。自分で、どんなやり方で、リハを続けたらいいのだろう。


 それと、PTが若いこともあるが、性格的にもあまりきめ細かくない人だ。時に無神経だったりもする。

 歩きながら話をするが、入院前の運動の話をしている際にも、私が「健康に気をつけて、毎週プールで泳いでいたのだが…」と話すと、最後まで聞かずに、「それが裏目に出たと」、と言葉を継いだ。裏目に出たわけではないし、原因を探して後悔したり、自分を責めたりしがちな病人に対して、言葉が無神経なことがある。
 また、このPTは、相手の話に耳を傾けるのではなく、相手の話に似た自分の経験や他の患者の話をして終わらせる話し方をすることが多い。私は「私」なのであって、他の人と一括りの「患者」ではない。最初に少し話して、期待するのはやめたので、まあいいが、時間と機会としてもったいない。


 PTから伝えられた正しいやり方と量で、自主練習を一日数回やっているが、見たところ、フロア内では自主リハをやっている人は他にいない。皆、歩けない訳ではないと思うが、廊下を歩いていると見える各病室では、私よりも軽いと思われる人も、ベッド上でテレビを見て過ごしていることが多いようだ。

 私が歩行練習をしているのは、看護師にはあまり理解されていないようすで、怪訝そうな顔をされることがある。また、この病院は、患者同士が言葉を交わす様子がほとんど見られない。同様の疾患が多いフロアなので、他の人のプロセスがモデルになると思うが、フロアに、回復に向かうという雰囲気がないな、と思う。医師、看護師にその見通し感がないから、患者に見通しを示さないのかもしれない。



7:30 遠山Dr.ベッドサイド来た

来週のカテーテル検査について説明したい。いつが良いか?
土曜日の昼前、とした。


10:00 自主リハ
500
926562
996263

13:15 自主リハ
600
1036456
1066662

(日勤:Ns.田島(たしま)メガネ)

17:00 PTリハ
歩行+階段


 義父と母が来てくれて、励まされた。あたたかい気持ちが、嬉しかった。義父とは握手し、母とは小さくハイタッチをして別れた。

 義父(心不全で、数年前に同じステント手術をしている)からは、日常生活は意識せずにできるが、体重を退院時のまま保つことと、職場は変わらない方が良いこと、病院は、心臓の治療をした病院を主治医にしておいた方が良いこと、等の助言をもらった。

 母は、色々な物を持って来た。頼んだ物も持って来てくれたが、それ以外の物も持って来た。写真立てや、みかんや、水筒など。水筒は持ち帰ってもらった。みかんは多かったので、二人で食べて数を減らした。



 今回は仕事関係の見舞いを断っているので、見舞いに来てくれる人は、皆優しい人ばかりで、救われる。


夜勤:Ns.田口(ベテラン、ちょっとせわしない、メガネ)

2019.1.8火 心筋梗塞 入院9日目 あって良かった物、あったらいい物

13:30 PTのリハ

廊下を500m歩行した。
歩行後測定 74117Hg 60bpm

<PTの説明>
・自分で歩行する場合、午前・午後各2回はOK
・血圧のMAX値が、80を下回らなければ可。上限値は特になし。
・廊下は片道100mある。
・心電図のモニターの電波は、フロア内は届く。
 他フロアに行くと届かないので、無断外出すると、ばれる

(日勤)松本Ns.(思ったより話通じる)


16:00 心エコー(急に呼ばれた)

17:00 自主リハ
500m 速歩

以下、血圧上―下―脈拍 の順
1157356
1247859


19:40 自主リハ
600m 普通歩
1107256
1077559


体温 朝 37.1
   昼 35.8
   夜 36.3


夜 早坂Ns.(豪快な人)




◍持ち物

 十年くらい前に入院した時は、2カ月という長い入院だったこともあるが、物が多くなりすぎて、退院するときに大変だった。段ボールで3箱を、宅急便で自宅に送ることになった。あの時は、たまにできる外出の時に、車いすで1㎞くらいの所にある、専門書等を置いているマニアックな本屋に行かれるのが嬉しくて、本を買い込んでしまったのだった。

 自分の体のことを理解したかったために、脳科学の本等を何冊も買ってベッドサイドに積み上げていたため、ドクターが、少し構えた態度になったりしていた。


 今回は、今後の見通しが立たない一方で、いつまでもここにはいないとも思っていたので、荷物をあまり増やしたくなかった。最低限の物があればいいと思っていたが、それでもまだ、要らない物があったなと思う。限られた物を工夫して使ったり、本であれば、繰り返し丁寧に読み返したりできると思う。そういう楽しみ方でいいと思っていた。

<CCUの時>
 
【病院指定の私物】
ボックスティッシュ
ウエットティッシュとケース
パンツ3枚(ゴムがゆるい)
歯磨き・歯ブラシ

【希望して持ち込んだ物】
子どもの写真の缶バッジ
手帳(ファスナー付きの革カバーの中に手帳、ノート、電源を切った携帯=本当は禁止、が入っている)
ペンケース(中には製図用の0.5mmと0.7mmのシャーペン、消しゴム、青と黒のゲルボールペン、4色ボールペンが入っている)
文庫本3冊(「モンパの木の下で」「僕の宝物絵本」「世界一受けたい脳科学の授業」)
 
般病棟に来て>
 
【衛生用品など】
ボディソープ
赤い歯みがきコップ
寝間着2
タオル
(母持参)バスタオル1・タオル1

【その他の物】
写真
子どもが描いて持ってきた絵(たこやき、おこのみやき)、
時計
携帯充電器とコード
電池JR広報誌トランヴェール
本に挟まっていたしおり
母が持ってきたお守り
ウィダー・イン・ゼリー1、
みかん1
水1
 

<一般病棟で後で追加した物>

【衛生用品】
大きいビニール袋1
トートバック1
バスタオル1枚(病院からずっと借りている)
制汗スプレー

【その他の物】
テレビ・カード(1000円分=1分10円)
ラジオ
ヘッドフォン
本(『銘文探偵 向田邦子の謎を解く』)、
子どもが作ってきた作品(ハート)
水1



・気持ちが救われたのは、子どもの写真。はじめにあって、よかった。入院はスマホが使えないため、スマホに入っていても見ることができないことに、初めて気づいた。スマホがないと、メールやネットも見られず、外部との連絡手段がまったくない状況になる。

・本は、ある程度回復するまでは、読めないことがわかった。本は、気持ちの飢餓感を救う。写真入りの冊子も、意外と楽しめる。

・一般病棟に来て、なくて困ったのは、時計だった。時間がわからないと、生活のリズムや見通しがわからなくて、かなり困る。時計を昼間も夜中も常に見ていることに、改めて気づいた。

・入浴ができず、同じ寝間着を長く着ることになるため、制汗スプレーとボディソープが必要。ボディソープは、看護助手に頼んで持ってきてもらう、バケツのお湯で体を拭くときに使ったり、寝間着のにおいが気になる部分だけ、少し洗うのに使ったりしている。

・閉じ込められた閉塞感が苦手な私にとっては、冷蔵庫の中に隠してあるウィダー・イン・ゼリーが、飢餓感を救っている。

・CCUから、いろいろな用途でずっと使っているのは、病院から借りたバスタオル。頭痛時に枕にしたり、お腹を冷やさないように、腹巻代わりに巻いたりしている。

・タオル1~2枚も、マフラーにしたりと様々に使っている。

・活字への飢餓感は、kindleリーダー、ルーターがあれば、最強かもしれない。

・他、セロテープあれば便利。まだ電話のある所までは行かれないが、テレホンカードも必要。